積まれた原稿用紙

主に短編小説を投稿します、声劇などでも使用可です(規約は別途記載)

十月ですな

 大学の後期が始まり、ライティングのお仕事で忙しくてここに載せる小説が全く書けてないのでここに書き込むことを癖づける意味も込めて日記のようなものをつけてみます。

 

 自己紹介でも書いた通り、現在自分は大学生二年生で就職活動のシステムが変わることもあり、二年生になってもそこそこの授業数をこなしています。具体的に言えば後期で履修する単位数は二十二単位、そこに司書過程も加わるので二十六単位履修しています。

 

 いやはや就職活動のシステムが変わるとか大学生からしたらたまったものではなくて、三年の夏から就職活動が始まってしまうので二年生までで単位をとれるだけ取って三年生から卒論と就職活動……

 大学生活を人生の夏休みという人もいますが、長期の旅行だとかその手の予定は入れようにも暇がないのが悲しい現実です。休みは大体バイトですしはやく二日連休が欲しいものです……

 

 そしてもう一つ悲しい現実は今日から消費税増税ですね。今一つ実感はないですが生活していくうちにいやというほど実感するんだと思います。

 皆さんは増税前に大きな買い物を済ませましたか? 私は以前から気になっていた本を一気に揃えてしまいました。あとはPC周りのパーツも少し買い足しましたね、今まで古い規格のまま放置してたケーブルだとかライセンス更新をギリギリまで待ってたソフトとかいろいろ更新しました。

 

 雑記になってしまいましたがふと読んでみてコメントなど気軽にしていただけると嬉しいです。

無題 テーマ「嘘」

 少し薬品の匂いがきつい、でも慣れれば心地良いとさえ思えてくる匂いに包まれて朝を迎える。

 空調が効いていて不快感は無いが、圧迫感というか閉塞感というか、こういうのを籠の中の鳥だと言例えるんじゃないかな。その籠の中で管に繋がれ日々を浪費して行く僕たちは傍から見ればなんと哀れに見えるだろう。そんな自嘲気味に笑う僕の性根はだいぶ曲がっているな、今日は僕の人生で一番大事な日なのに、神さまって奴に見放されないようにしないと。

 「お~い、起きてんのか~?」

 ノックと同時に聞こえてきたのはとなりの病室からだった、日課になった顔を合わせない朝の他愛のない同年代のおしゃべりを始める。顔なんて見たこと無い、ちょっとした巡り合わせで出会った同年代の彼がが僕と同じように日々を浪費する。

 「今日は薬が減りそう?」「元々大した量じゃねーよ、俺の部屋は一般病室の隔離、お前みたいな集中治療室じゃねーよ」

 そうやって軽口を叩き合い、憂鬱な朝食までの時間を紛らわす、栄養管理された食事に自分のために調合された薬、希少な症例らしく毎日がモルモットのような生活だ。

 「それはそうとしてお前の方は減ったのかよ」「今日は薬がないんだ」

 そう、今日は僕の世界で初になるらしい術式での手術が行われる。

 「あ~、今日は頑張れよ、俺もそろそろ退院だから、成功したらどっか遊びに行こうぜ」

 そう飄々とした態度で語りかけてくる彼を僕は羨ましいと思っていた、太く低い声から彼言っていたスポーツ中に怪我をした姿が想像できる。

 「まぁ、失敗したら御見舞にでも来てよ、次の手術も頑張るから」

 今回で成功させろと激励してくれる、そんな彼が近くにいてくれたから僕はがんばれてきたんだと思う。

 「この病室に帰ってきたら、言いたいことがあるんだ。待たせたくないけど、出来もしない約束をするのも癪だから」

 「おーわかったよ、漫画でも読みながら気長に待ってるよ」

 そうこうしていると病室に先生と看護師さんが入ってきた、これから手術室に移動するまでの簡単な説明を受けストレッチャーへと移ってその際に彼へ「行ってきます」と挨拶をした。

 先生や看護師さんが居て気恥ずかしかったのか、壁を一回叩いた返事が帰ってきて、それを聞いた僕は病室を後にした。

 そしてストレッチャーで手術室までの移動中にふと失敗して戻れなかったときのことを考えてなかったと思った、手紙か何かで保険をかけておくべきだったと公開しながら手術室に到着した。

 その後は麻酔科医の人がテキパキと作業をして合図を出すと、意識が遠のいていくのがわかった。目の前が混濁していき次第に意識も消えそうになった瞬間、こんなときでも脳裏に浮かんだのは彼のことだった。




 目が覚めた、横たわったベッドも脇に涙を拭いながら携わる両親、これは多分成功したってことなんだろう。良かった、また彼に合うことができるのだ。今まで散々言ってきた神さまって奴も案外悪くないかもしれない。

 「おめでとう手術は成功したんだ、後は経過観察の結果次第では退院だってちかいかもしれない」

 そう言って僕に微笑みかける先生の顔は陰りのない真実を伝える顔だとわかる。しかし僕は早くこのことを彼に知らせねければいけない。

 「先生、それより早く病室に、病室に戻りたいんだ」

 そう言うと訝しい顔でなぜだと聞いてくる先生に「隣の彼……、隣の病室の友達に報告したいんだ」

 そういった瞬間今まで笑みを浮かべていた看護師さんの顔から笑みが消える。

 先生から吐き出される言葉がやけにゆっくりに聞こえるけど、それで僕は、彼が死んだってことを知った。

 「でも……隣は一般病棟だって……ただの故障だって……彼は……」

 飲み込めない現実を押し出すように言葉を振り絞るが「あの階には集中治療室しかない」と告げられた瞬間、僕は、走り出した。

 点滴が外れる、麻酔が残ってて興奮状態にあるのかわからないが痛みはなかった。おぼつかない足取りで同じフロアにある病室に駆け戻る。

 僕の病室の隣の402、角部屋の401が僕の病室でその隣の402。おぼつかない足を半ば引きずりやっとの思い出到着した病室で、彼の家族がドアを開けたままベッドにすがって声を殺して泣いていた。

 そのまま病室に足を踏み入れる、初めて見る彼の顔は骨ばったが男らしい骨格で、頬の肉が削げ落ちているように痩せていた。まだ心電図モニターは外されていないが、今まで彼の命を繋いできたであろう点滴などの治療器具は病室の隅に追いやられていた。

 僕に気づいた彼の家族が何も言えない僕を察してくれた。

 「話はいつも聞いていた、ありがとう、でももう長くはないみたいだから最後に挨拶してあげて」

 そう言って今にも泣き出しそうな笑顔で家族は病室を後にした。きっと僕と彼のことを気遣ってくれたんだろう。

 ベッドに近づき、彼の手を握った、彼手は温かかった。ベッドの脇には『西野夕 男 17歳』と書かれていた。

 「名前、西野夕っていうのか。はじめまして、僕の名前は日向祐希」

 泣くつもり無かったのに喉の奥から嗚咽が漏れ出す。そのことを慰めてくれるのか、小さく手を握り返してくれた。

 それから僕は彼の横顔に触れた、今日この瞬間をどれだけ恋焦がれていただろう。彼に触れて、名前を聞いて、これからどうするかなんて他愛のないことを話したかった。そんな事を考えながら僕は最後に気持ちを伝えた。

 

 夕日が差し込む病室で、僕は彼と唇を重ねた。

 

 あぁ、心停止を知らせる電子音が煩い。

自己紹介

自己紹介

はじめまして、各務ヶ原隆と申します。九州在住の大学生です。

趣味はサブカル全般って感じで多趣味にいろいろしてます。小説以外に能動的に活動してるのは動画を作る程度です。

このブログでは主に自分が書いた小説や声劇用台本の投稿、その他小説やアニメなどのレビューを書いていきたいと思ってます。

目標は副業程度でシナリオや小説、ライティングのお仕事をいただければと思いポートフォリオサイトの意味も込めてこのサイトを作りました。

次の投稿で短編小説を一本投稿するので自己紹介の延長として読んでいただければ幸いです。